JUGEMテーマ:映画

全然車を知らない興味ない私でも全編楽しめる実録娯楽映画に仕上げるハリウッドはやはりすげ〜なって事で。
★★★★


★一つ分はクリスチャンベール演じるケンダニエルズの妻役がカトリーナバルフだった事。
ドラマのアウトランダー(王家の紋章in 19世紀スコットランドイングランドバージョン)のヒロイン。このドラマ滅多にアメドラを観ない(長いから)のにヒーローとヒロインが大好きなキャラ設定だったのでシーズン1だけ頑張って観たんです。
この映画でも旦那さん大好きキャラででも黙ってついてくるだけじゃなくて、隠し事された!ってなった時に旦那に凄い勢いで事実を話せと迫るシーン芯の強い女性像を鮮やかに演じててよかったわー


本編の殆どは、マット・デイモン演じるル・マンを制した後にカーエンジニアとして生きているキャロル・シェルビーと彼にスカウトされた形の破天荒なイギリス人ドライバーケンマイルズを演じるクリスチャンベールの友情と車とレースへの想いを描いている。
ちょっとしたエンジンや材質の違いを感覚で感じて調整しては車の性能を限界まで引き出す姿が、なんか車が生き物みたいにみえて、あれだけ人生を賭けて才能を発揮できれば幸せだろうなぁとものづくりの素晴らしさを感じられる描き方だった。


ここまで出来るか?を運転中車と対話するような感じで運転してるのも興味深かったし。


車音痴にもライバルのフェラーリの車は曲線が官能的でかっこいいとわかるんだけど、憎らしいキザな敵役みたいな扱いでした。まだまた新興の小さい車会社だしっていう感じだった。そうなんですか?(車の歴史を全然知らない。オホホホ)
ドライバーの男性役者がゴクミの旦那さんみたいだったとかほんとくだらない感想しか浮かばない。


前半妻の話ばかりしましたがケンの息子さんもいい味出してて、お父さんの夢と才能を応援する素敵な家族なんですわ。
あの息子さん実際にどうなったのか気になるくらい良い存在感でした。
だめだ、あんまり良い感想が書けないのでここでおわり。観てください(笑)


クリスチャンベールの顔が作品によって激変するわ、実在の人物に似せてくるわでもとの顔忘れそうです。太陽の帝国のあの子役が‼︎と思うのもそろそろやめるべきですね。すっかり大俳優。
あの作品は日本人が出てくる日中戦争から太平洋戦争に突入した中国でその中に巻き込まれていくイギリス人少年を描いた作品。
当時スピルバーグ監督が描く中国や日本軍、同世代のイギリス人少年が演じてるということで大々的に宣伝される中観たので非常に印象深い。同時代を子役から生きていて名優の道を歩んでいるのを見られるのはやっぱり嬉しい。

今後もいろいろな姿を見せてほしいなー。

 

マットデイモンはいつもそつがない。

今回もたぶん役作りとしていろいろやっているんだろうけど、この俳優はやりすぎない感じがよい。

クリスチャンベールがやりすぎるきらいのある俳優なので、バランスが良いというか。

プロデューサー的な俳優なんだなーと今回の映画を見ていても思いました。

 

 


 

 

指輪物語やホビットの冒険を書いた小説家トールキンの少年期から青年期にかけての友情や恋愛、物語が生まれる過程を描く。
彼はシングルマザーの母を早くに亡くした孤児だったんですね。
母親の遺言と本人の高い知性から、名門の学校へ編入し、上流階級に属している子弟の3人と仲良くなり、文学や芸術について語り合い、自分たちの作品を持ち寄っては批評し合いながら認め合って切磋琢磨していく。
最初は階級差からお互いを無視したりとなかなかに大変そうな関わり方なんだけれど、少年らしい単純さと純粋さでそれらを乗り越えときに喧嘩をし時にからかい、助言し、力になる。なんとも素敵な友情が育まれていく。


一方で同じく孤児出身で同じ篤志家に引き取られていたエディスからも励まされる。彼女とはお互い恋愛感情を抱くけど、やはりここでも階級や孤児である点、貧乏な生活などが色々障害になって一筋縄ではいかない。


合間に4人が出征した第一次世界大戦の戦場での様子が挟み込まれてストーリーが展開していく。
悲惨な戦場ものちの物語の世界観に影響を与えているのがわかる作り。
多感な時期に出会って育まれた絆は、トールキンにとって彼らとの友情や愛情を書く事で刻むものだったし、彼らが創作の大きな動機と力にもなっているというのがありありとわかって味わい深い。


トールキンを演じるニコラスホルトは見るたびに大きくなって…という近所のおばちゃんみたいな感覚が湧く俳優(笑)
アバウトアボーイの紅顔の少年が立派になってと出てきた時から感慨深いんだから困ったもんです。

同様にリリーコリンズも好きな女優さんなので、立派な眉毛でと同時にキュートさが相変わらず全開で無条件に好きw
というわけで、幼馴染でかつお互いに好意を持っていく過程はうまくいきますようにとこれまた親戚のおばさんみたいな心持ちで観ていました。
なんの話やねんw

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前評判通り面白かったー!

主人公一家の父親、お馴染みのソンガンホさんですが、彼は何というかどこにでもいそうな市井の人を演じるのがうまい。それも人が良さそうだけどちょっと愚鈍そうというか下品そうで、でも図々しさが憎めないみたいな役柄が似合う。


考えてみたら1999年のシュリで初めて観た俳優でその後も何本も国際的にも有名になった作品にでてますね。

私がみた中でのお気に入りは
タクシー運転手と殺人の追憶です。


今回はそれらを凌駕しちゃった。


ポンジュノ監督の描く世界はちょっと怖くて、スリルがあって、可笑しくて、そして哀しみがある。
お金持ちの家にあるきっかけから貧乏な主人公一家が身分を偽って入り込んで働き口を得るんですが、どちらの家族もそれぞれの家族に対して絶妙に無神経なんです。


象徴的なのが洪水で、裕福な一家は臭いが気になるけど色々洗い流されてスッキリした天気などと言うし
主人公一家は嘘を言って一家に取り入ってるわけで。


そこから起こるのがスリルとサスペンスと笑いだけではなく、哀しみと憤りが描かれているからこその展開と余韻が凄いのです。


なんというか、上下の階級からみる感覚のすれ違いや無理解を視覚でもストーリーでも存分にみせられます。

監督は韓国社会を象徴する話を描いたそうですが、こうして他の国の人間に響く、ある意味普遍的と思わせる嗅覚というか表現力凄いなぁ。

その表現力もたまにツッコミたくなるような部分があるんだけど、なんか話の展開にくるまれているうちにどうでも良くなる手腕にも磨きがかかってる気がする(笑)

 

韓国映画のド迫力っていうと、かなり事実が重いとかエグイ話になる印象があるんですけど

そこを描きつつ、軽さや笑いのテイストがあって妙に乾いているところが

世界的に受け入れられている理由なのかなと勝手に自己分析。

直近のスノーピアサーとオクジャは観てないのでとくにスノーピアサーが観たい。

 

アカデミー作品賞か監督賞の受賞はあるんじゃないかしらん。
あとね、個人的にはウォンビンの復帰作をまた撮って欲しい(笑)

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すみません。もう観に行ったのは去年の話ですが。

 

漫画原作とのことですが、原作未見のまま山田孝之、佐藤健、荒川良々という化学反応を観に行った。
3人共本人の特性および、特性からくる意外性がうまく引き出されており
社会にくすぶる、こんなもんじゃない俺という足掻きと焦燥感がうまく映画化されていた。

 

特に、主人公兄弟を演じた山田孝之と佐藤健の正反対なのに似ているやるせない表情が良かった。


兄・右近(山田)の方は人生からドロップアウトしているけど
世の中への怒りと不満が渦巻いているがゆえに右翼活動に身をささげていて
活動資金のために右翼団体が行っている徳川埋蔵金を掘るバイトで食いつなぐ日々。

 

そこへどこからともなく現れた荒川良々演じる男。
デリヘルチラシに映る女性が好きで家に呼びたくてお金を貯めているんだけど、それが全部小銭。
その様子をみて、同情する右近。
はたから見るとどうしようもない結構気持ち悪い状況なんだけど、つい笑ってしまう。

 

左近は、兄のどうしようもない生活を軽蔑している風で
本人はエリート商社マン。が、これはこれで自分の人生に飽き飽きしているようで
周りへの目線が冷え冷えとしていて随分と見下している。


人を見下し何事にも冷めた人物を演じさせたら同年代の俳優で佐藤健の右に出るものがいない。

 

そんななんともいやな感じが溢れている3人のもとにある日
壊れかけたロボットが現れる。

ロボオと名付けられたソレは
機械につよい左近の手によって、見かけに反してかなり最先端のAIロボットだということがわかり、3人の人生を劇的に変えてしまうのだ。
普段の3人の日常が無駄にリアルな感じなせいか、荒唐無稽な展開をみせてもなんだか「アリ」かなと思わせてしまう。
ラストの着地もなんかあの3人ならこれはあり得るといった不思議な着地で面白かった。
日常に不満が溜まっていて、ちょっとスカっとしたい人におすすめしたい。

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2000年代に入り
アイアムサムのダコタファニング
メイジーの瞳のオナタ・アプリールについで真打が登場しましたよ。
ギフテッドの少女メアリー演じるマッケンナ・グレイス。

 

20世紀に天才子役と言われた
ナタリーポートマンやジョディフォスターはのちにオスカー獲りました。
上にあげた少女たちも大人になって充分にその力があると思わせる演技力をすでに子供の段階で備えている。
世の中にはメアリー以外にも天才はいっぱいいるのね・・・という気持ちにさせられるギフテッド。

 

私の中ではアイアムサムとメイジーの瞳と三部作と言いたい。
すべて少女の目を通した映画で
観終わった後の気持ちが似ている作品です。
それぞれの葛藤を時にぶつけたり自分で消化したりしながら相手との関係を作っていく家族の話。

 

ギフテッドは、本人の能力に対してのアプローチの違う祖母、母、母の弟という大人たちがいる。
自分でも持て余し気味の高い能力をもった少女を前に数学者だった祖母は天才として伸ばしてあげたいと一流の講師をつけることが彼女の幸せだと信じて疑わない。


そして、同じくギフテッドだった母親は、母(メアリーにとっては祖母)との確執に疲れ自殺してしまっている。
その姿をみて娘を託されている自身も能力が高かったであろう弟は、早々と戦線離脱してガテン系の仕事で生計をたて親とは絶縁状態になって姪を育てている。


姉や自分のように屈折した想いや確執を持った人間にしたくないと祖母から遠ざけ「普通の」生活を送らせようとするのだけど
息子と孫を見つけ出し、その能力の高さを目の当たりにした祖母は親権を巡って裁判を起こす。

 

メアリーは叔父と一緒に暮らしたい。
けれども普通の小学校では勉強したいことがなくて浮いてしまう。


数学書を嬉々として読むメアリーに対して、どう養育していくべきか周囲の大人たちは悩み、自分なりの解をメアリーに差し出す。

 

メアリーのこのアンバランスさは養育する身になると本当に大変だと思うけど
映画として観ているこちらにはとにかくそのアンバランスさが魅力的で愛らしい。


様々に降りかかる現実に涙したり怒りを爆発させたりしながら、家族の関係を築いていく姿にじーんとする。

叔父にとっても姪にとってもそれぞれの存在が代えがたいギフトでもあることをこの作品は余すことなく描いている。
メアリーと叔父の隣人女性役がドリームにも出演していた女優。
フォートランのシステムエンジニア先駆者が、ここではメアリーたちの太陽のような明るくて歯に衣着せぬ女性として登場し、観客の心を代弁し
彼女の眼を通して映画の物語の世界へと入りこませてくれる。

 

なかなか素敵な作品です。

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書き溜めたはいいが、リニューアルした映画サイトをいつまでも作りこむことができないのでこちらにも投稿します。

 

 

娘を何者かに殺された母親が主人公。
アメリカ南部、ミズーリ州の田舎町。
誰もが知り合いで有色人種や同性愛者への差別を隠そうともしない人がちらほらいたりといった閉塞感満載な町。
進展しない捜査に業を煮やした主人公ミルドレットは寂れた町のこれまた寂れた道路に半ば放置されていた3枚の看板に広告を出すことを思いつく。

3枚の広告にはウェルビー署警察署長宛に「娘の犯人逮捕はまだか?」といった皮肉を込めた非難の言葉を。
署長を敬愛する警察官ディクソンが発見し、騒ぎとなるが一歩も引かないミルドレット。
一方でディクソンは暴力的な警察官でウェルビー署長を尊敬しつつもたしなめられようが差別意識丸出しで一向に粗暴な面を改めようとしない。
ミルドレットが自分の言うことを聞かないとわかると、彼女にかかわる周囲の人間に暴力を振るう。
そして、それを聞いたミルドレットがまた憤る・・・
とどんどんヒートアップしていき、たかまる緊張感と不穏な空気。

生まれてから死ぬまで同じ土地で代々暮らしている人たちの濃密な人間関係と気怠さと閉塞感が迫る。


この空気に耐えられるタイプと耐えられないタイプがいて、私は後者なのでひたすらこんな街はイヤだ
戦うよりも逃げて全然別の人生を送りたいと思いながら観ていた。


だから、ミルドレットが悩みながらも一歩も引かずにその土地で憤りの声を上げる姿に心底スゴイと思うのだが
絶対に自分は出来ないという諦観も強く感じて言い難いモヤモヤやらなにやらいろんな感情が揺り起こされた。
映画ってすごいなー素晴らしいなと思うのはこんな時。

 

で、そんな風に感嘆していると物語はドカーンとでっかい起承転結の転を迎え
えええええええー!って思っているうちにエンディングがやってくる。


その終盤でのミルドレットとディクソンのやり取りも私は自分なら絶対にこんなこと言わないし、言えない。
すげーな、何物も恐れず立ち向かっていく人たちって。

そしてそして、この作品にはワタクシが「魔界系俳優」と名付けてご贔屓にしている

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズが広告代理店のレッド役として出ているんだけれども!


魔法かかっちゃってて、中盤まで気づいてなかったw
このレッドがですね、ディクソンにオレンジジュースを置くシーンがあるんですけれども
そのシーンの表情が素晴らしくて鳥肌が立ちました。
こんな顔しちゃうのか!
私の心の中の渦巻きがどーんと溢れたシーンでもありました。
これは映像でないとわからない。

スゴイシーンだったと今思い返しても思う。
 

 

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もう2月ですが、正月に家族そろってスターウォーズと梯子してみた作品。

去年上映前に、映像関係の仕事をしていた鈴太郎の友達パパが

 

これは親子で観たほうがいいと思うんですよね〜

 

と言っていたのが脳内に残っていて、新年もロングラン上映しているではないか!いかなきゃー!と張り切って映画館行った作品です。

 

「If you must blink, do it now! (瞬きするなら今のうち)」


作中で主人公の少年クボが何度も口にするセリフですが、まさにこの映画を観る観客の心にすとんと落ちるセリフ。

 



舞台が日本をモチーフにしていること
人形のコマ撮り、つまりストップモーションアニメという素晴らしい技術の粋
ということでロングラン上映になっています。

(まだ上映しているところもあるようだ)

 

主人公のクボ(苗字じゃない。名前である)という少年が
三味線片手に琵琶奏者よろしく物語を語る。


彼が三味線を奏でると折り紙が武者に、怪物に、動物にと様々な形となりその折り紙たちが演奏に合わせて
進み、飛び、戦い、物語を演じていく。

母親はクボを守るために家を出て流れ着いた村に住んでいるのだが
どうもその時にケガをしたようで記憶が曖昧で日中は目も見えずぼうっとしている。
けれども、その母が日が暮れたら決して外に出てはいけないとクボにしつこいくらい警告を出しており
クボは律義にそれを守り、母の面倒を見ながら、大道芸のような形で母からきいた物語を語ることで日銭を稼ぐ暮らしをしている。

あるとき、死者が生きている身内の元へ帰ってくるという話をきき(お盆の灯篭流し)
亡くなった父親に会いたいと思ったクボも灯篭流しに参加。
しかし、そのために家路につく前に日が暮れてしまう。

そこに現れる母の妹つまりクボの叔母2人。
クボに左目をよこせと迫ってくる。
血相を変えて現れる母。

母がクボを守り逃がすのと引き換えに命を失い
その代わりに現れたのがサル。
自分に引き継がれる刀、鎧、兜を探す旅へ。
その過程で呪いから記憶をなくしクワガタムシにされた父の家臣とも出会い旅を続けていくのだが。

父は、母は、クボに何を遺し、何を伝えたかったのか?
クボの出生の秘密は?

といった縦糸を軸に、サルとクワガタムシとクボの冒険ともいえる旅の過程が描かれる。

 

とにかく、この人形を動かしているだけとは思えない繊細な画面が素晴らしい。
お盆の灯篭流し、盆踊り、三味線、折り紙、武士、兜といった日本的なモチーフもわりと現実に即した形や音で描かれておりおもしろい。
三味線の音色はどこか物悲しく、悲劇的な生い立ちのクボの背景を陰影深く彩る。

 

 

描かれる「亡くなった人への思慕」と「敬う心」といった死生観が

非常に東洋的なモチーフだと思うのだけど
そこを物語の肝として染み入るように美しく描かれていて感動しました。

 

なにより、過酷な運命を乗り切るために母が繰り返しクボに語っていたのであろう「物語」の力が
クボに様々な力を与え(お金稼いだり、敵と戦ったり)、彼自身が生きていく上での力になっていく展開がいい。


シャーリーズ・セロン、レイフ・ファインズ、ルーニー・マーラ、マシュー・マコノヒーと声優陣も超一流。

While My Guitar Gently Weepsというエンディング曲がレジーナ・スペクターの哀愁のある声といい三味線演奏ですごーくかっこいい。
原曲がビートルズだって全然知りませんでしたw

日本語吹き替え版は吉田兄弟の三味線onlyバージョンだそうで、吹き替えでも見たいなあ。

 

というわけでオススメ。

大人も存分に楽しめます。

※写真は2017年9月16日したまちコメディ映画祭での舞台挨拶。

左から、音楽の金子ノブアキさん、母親役の神野三鈴さん、主人公・高橋一生さん、監督&兄役・斎藤工さん(監督名・齋藤工)、したコメの総合プロデューサーいとうせいこう氏

最初に述べると、(一応短編も含め齋藤工監督作品は全部観ている)この作品が断トツで好きです。

blank13という映画のプロット。
13年前に借金がもとで失踪していた父親が末期がんと診断されてひょっこり母親と息子二人の前に現れる。
父親は以前の印象とさして変わったようにはみえず、そのまま亡くなってしまい
兄弟は葬式を出すことになる。


ほぼこれだけである。

登場人物たちのセリフも多くはない。

主人公に至ってはそこにいることがすべてで終盤までほとんど会話らしい会話すらしない。
けれども、痛いほど主人公の気持ちが伝わってくる。

時間薬という言葉がある。

しかし、せっかくの薬が当事者の登場でまた効かなくなっていく。
時間とともに薄れていた痛みが抉られる。


主人公や母親の顔は能面のような役割だなと思った。
能面は顔の角度で陰影をつけたり向きを変えることで、その人物の怒りや悲しみや喜びを表現する。
あれに登場人物たちの演技が似ている。

目を伏せる
みつめる


それだけの表現が、一度に様々な感情を連想させる。
齋藤監督の作品は、どれもプロットが盛りだくさんというタイプの映画ではない。
ある事象があって、そこに細かなしぐさや情景を重ねていくことで炙り出されていくものを映像として撮っているように感じる。

観る人によってたぶん受け取り方も微妙に違うけれど、それが余韻になり心が揺さぶられるという塩梅がすごく心地の良い作品。
もともとのプロットが脚本家の方の実話だというのもあるし、主人公を演じた高橋一生さん自身の生い立ちもダブるのもあって、ドキュメンタリーのような手触りのある作品。

高橋さんの生い立ちの話は偶然見たTVで垣間見たものだったのだけれど、
母が結婚と離婚を繰り返し
父親違いの兄弟が3人もいて
母にはお金の無心をされたことで絶縁状態
病気で死期が近いと弟さんに知らされて亡くなる間際に会うことができ、死をみとったというようなことをおっしゃっていた。

よくぞ、このキャスティングを!と思ったし
ご本人もよくぞ受けましたねという代物だと思う。


役者や表現者の業なのかもしれないけど、自分自身からにじみ出てくるものを作品にリンクさせて観ているものの心の中にも波紋を拡げられるなんて、その世界で成功する人たちは、表現するタイミングにも恵まれるものなんだなあと妙に感心してしまった。


リリーフランキーさんやら松岡茉優さんやら神野三鈴さん、佐藤二朗さん、織本順吉さん、村上淳さん・・・
(すみません、芸人さんには本当に疎くて名前があんまり覚えられないけれど、みんな面白かった)
よくぞ集めたなあ!というキャスティング力に驚いていたのだけど、中でも一生さんその人にしか演じられないであろう役を絶妙なタイミングで実現させる力っていうのは、芸術の神様に愛されちゃってるんじゃないかと思った次第。

個人的には、私自身が一見普通にみえる家庭で育ったように思われているけど、親とはいろいろとぶっ飛んだエピソード@現在進行形で複雑な感情を持っているので、いたく感情移入してしまった。
親が痛々しくみえることの惨めさや、普通の家庭にちょっと憧れたりする自分の痛さとか。
相手から連絡が来るときは、いい話ではない時であるとか。


でも嫌なこと、辛いことも笑いに昇華できれば前に進めるっていう座右の銘みたいなものを肯定させてくれる自分のつっかえ棒の一つになってくれそうな映画でした。


とるに足らないことだけど、1つだけ。
兄役の人が降板して、急遽監督自身が兄を演じたと聞きましたが
お葬式のシーンで兄が笑いを堪えているのがわかっちゃうシーンがありまして。
(ご本人も舞台あいさつで言っていたけど)
そこだけ、惜しい。
降板しちゃった役者さん誰だったんだろう。
私は役者としての工さんをたくさん観たいミーハーファンですがこれは監督に専念してもらって観たかったかもしれない。
もしくは監督権限でここだけ撮り直しとか出来なかったかなあ。
そこだけはほんのちょっと思っちゃいました。

 

長文書き連ねてますが、、、

最後に一つ。一番お気に入りはラストシーン。音楽の入り方と煙がくゆるシーンが絶妙。

市川崑監督の犬神家の一族@富司純子の喫煙シーンくらいかっこよかったなあ、神野さん。

黒のバックと窓の外の光とたばこの煙。

いいねぇ。ウェインワン監督のスモークも思い出しちゃった。

本当にいい作品なので来年東京でも新宿で一館だけとはいわず、多くの劇場
で公開してほしいな。

とここまで書いて寝かせて置いたら、

本日朝のテレビで2018年2月24日から全国公開とでましたので全国公開も決まったんですね。

おめでとうございます!!
表現者としての多彩さを観られてファンとしても幸せです。

 

 

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上から目線で観始めたらうっかりハマってしまったドラマ版昼顔。

最終回に呆然としていたら、3年後にアンサーがでましたってことで行ってきました。

 

ドラマ版の感想はこちら。

4回も書いてたw

 

ドラマ・昼顔

 

ドラマ昼顔総括その1 最終話の消化しきれなかった点

 

ドラマ昼顔総括その2 劇中の男達について

ドラマ昼顔総括その3 北野先生

 

では、ネタバレしない程度に。

 

のっけからいうと、ドラマ版に引き続き紗和ちゃんに制作陣は厳しかった(笑)

 

でも彼女は可愛いです。

ダメって言われても自分の欲望に忠実で素直。

こういう捨て身でくるキャラに高学歴な美人妻は勝てない。

が、プライドがエベレスト級に高いと勝つのに反則も場外乱闘もいとわない。

乃理子さんのプライドと行動力が昼顔の屋台骨の強力な一本であることに変わりはないのも映画版まで活きていました。

 

なのに、ヒール役になってしまったのは、

上戸彩さんの可愛さ!

そして、上戸さんも舞台あいさつで言っていたけど演じる伊藤歩さんが血流まで操れるから(笑)

二人が話すシーンでの乃理子さんの微妙な表情の変化が

恋愛ドラマなのにサスペンス&ホラーの世界へと誘う。

 

一方の紗和ちゃんは、北野先生を見ているうれしそうな顔が本当に可愛くてねぇ。

先生はドラマ版の方の感想で男性キャラの中で一番嫌いと書いてしまいましたが

紗和ちゃんとはお似合い。

紗和ちゃんとニコニコしていると、グレートピレネーズみたいだった。

 

で、今回映画版では女の言いなりかと皮肉を言われたときに

「生物はみなそうです。」

と淡々と語っていて、あーこの人が乃理子さんに従うラブラドルレトリバーにみえたのも

紗和ちゃんの横にもっさり無口気味にいるひつじにみえたのも

彼なりの生き方やポリシーの反映なのねと初めて納得がいきました。

 

でも、やっぱり言いたい。

女二人が取り合うような男ではないと思う(笑)

 

すみません、恋愛には非常に打算的かつ現実主義者ですw

まあ、だからこそ楽しめるわけで。

フィクションだから程よく感情移入したり俯瞰したりできる。

 

そして、紗和ちゃんの衣装よかった。

普段着の緩い感じもなんだか色っぽかったし

浴衣姿も似合ってた。

一番良かったのがラストに着ている服。

場面と心情と表情にぴったりで美しくて、儚さ、脆さ、危うさ、そして強さも感じられて。

可愛かった。

そればっかりw

でも、本当に上戸さん良かったです。余韻が続く演技でした。

それに、なんだか、危うげというか

ドラマ版よりも映画版の方がぐぐっと

既婚者でも恋人がいてもモテるだろうなあという絶妙な隙がありました!

女優さんってすごいなー。自分の人生経験がスクリーンに投影できるんだから。

 

最後に。

渋川清彦さんと黒沢あすかさんも出演していて「おっ!」という楽しみも個人的にはあり。

黒沢あすかさんといえば、六月の蛇が本当に色っぽくて「うおー!」って思った女優さんなんです。

今回酸いも甘いも噛み分けた女性を演じてて深かったなあ。

渋川さんはどの映画を観ても出演している気がする(笑)

なんだろう、10年ちょっと前の西島秀俊ばりに映画に登場している気がしてならない。

 

ブルーハーツの楽曲にインスパイアされた6つの短編を一挙に観られる「ブルーハーツが聴こえる」
舞台挨拶付きを観てきた。

 

6作品の監督や主な出演者。
『ハンマー(48億のブルース)』監督:飯塚健、出演:尾野真千子、角田晃広、荻原みのり、伊藤沙莉、吉沢悠
『人にやさしく』監督:下山天、出演:市原隼人、高橋メアリージュン、浅利陽介、加藤雅也、西村雅彦、瀧内公美
『ラブレター』監督:井口昇、出演:斎藤工、要潤、山本舞香
『少年の詩』監督:清水崇、出演:優香、内川蓬生、新井浩文
『ジョウネツノバラ』監督:工藤伸一、出演:永瀬正敏、水原希子
『1001のバイオリン』監督:李相日、出演:豊川悦司、三浦貴大、小池栄子、石橋杏奈、荒木飛翔


ブルーハーツの楽曲という面からはどれも結構な変化球作品。
曲から連想されたものを作品にしたというよりは、それぞれの監督が撮りたいものに対してブルーハーツの楽曲へ寄せていった感じです。
なので、ジョウネツノバラなんて、変化球過ぎてビックリする。

楽曲「情熱の薔薇」自体が、TBSで昔やったドラマ「はいすくーる落書」で主題歌だったので私にはこのイメージがでかい。これとTRAIN-TRAINはこのドラマのパート1、2それぞれの主題歌で大ヒットしたので、ブルーハーツといえば学園モノでの威勢の良い不良たちの不器用な生き様みたいなイメージ。

今回、ラブレターはその当時くらいの学園モノ、少年の詩も世相は1980年代が舞台だけど、当たり前だが全く受ける印象も内容も違う話が展開される。

 

6つの中で心に残った作品といわれると、それぞれ小学生男子が登場した少年の詩と1001のバイオリン。
少年の詩はズバリ少年が主人公でその描き方にぐっときたし
1001のバイオリンは、ラストの描き方と曲との重なりが凄く良かった。

 

それぞれ2,30分の短編でしたが、独立した個性を放っていたので個々の作品についての感想を。

 

ハンマー(48億のブルース)
舞台劇のような作品だった。
主人公の行動や言動が煮え切らない代わりに会話のテンポはとにかく歯切れよかった。
ただ、ちょっと私には聞き取りにくいテンションの会話でよくわからないやりとりがあったのが個人的には残念。
後半の破壊力は勢いと疾走感あり。

 

人にやさしく
意表をつく導入。なんと、ばりばりのSF。
監督がスターウォーズに憧れ、ブレードランナーに夢中になったと聞き、短編だったら
撮りたかったSFが撮れるかもと思ったのも納得。
市原隼人の肉体を含む美しさが良かった。
もっとアクション映画にでて欲しい。
役柄設定の意味合いが中盤でわかっちゃうんだけど、そこで「人にやさしく」って皮肉にもきこえるし
ユーモアが漂ってて私は好きだった。

 

ラブレター
学園モノ+SFという合わせ技を駆使しながらも、ノスタルジックに初恋を描く本作。
ノスタルジーに楽曲ラブレターも貢献している。
フィルムでの撮影シーンが効果的に使われていて、山本舞香演じる女子高生の可愛さに同性でもきゅんとなってしまうんですねぇ。

(マジかわええ。舞香ちゃん。舞台挨拶での現代っ子ぷりが見たくなかったような、でもかわいいからいい、みたいなw)
馬鹿馬鹿しいと笑っているとふっと顔を出すピュアな表情や場面にぐっと来る。

井口監督の「純情」がみえる作品。


少年の詩
団地に鉄塔がみえてタイトルバックに少年の詩ってでてくるところから好きでした。
少年がかなりの美少年なのもあって、健気な姿に心を掴まれちゃいますね。

そりゃあね、優香さんがお母さんなら再婚なんてイヤですよ!私でもいやですからw
シングルマザーである母親に言い寄る男性のやり方に言いようのない嫌悪感を主人公だけでなく観客にも抱かせる展開がいい。いましたよねーこういう無神経な大人!平成の世にもいるかしら?

今ならセクハラ&パワハラで訴えられてるレベルだけど、1980年代のシングルマザーは明るく

次の仕事探さなくっちゃねで終わらせちゃうのがなんか切ない。

いや、でもああいう時代だったという感覚が当時はその少年に年が近かった私の中にも残ってる。


ジョウネツノバラ
全編台詞無し。
永瀬正敏の存在感と水原希子の美しさがほぼ全てといった潔い作品。
グレーがかった画面が殺伐とした主人公の心情とリンク。
90年代にあったUndoみたい。(そういえばそれはトヨエツさんと山口智子がでてましたね)

 

1001のバイオリン
原発事故から一家で避難した家と作業員として留まる男性というモチーフに、最初はウーンと思いながら観た。
だけど、今の現状を受け入れられない、受け入れたくない想いと、受け入れないと進めないという想いと、清濁併せのんでそれでも生きて行かなきゃいけないんだという人の色々な形での気持ち、鬱屈した感情と前向きな想いと生きていくための希望の欠片みたいなものが複雑に絡み合い魅せる。絶望と希望が絶妙にかいま見えるラストがとても心に残って、見終わった時に心の中に炎のようなものが灯る。
飼い犬は死んでしまったかも知れないけれど、生き残った犬たちがいる。

生命の逞しさに希望をみたような男達の叫びと表情。

とても心に残った。

余韻って大事だな。

この6作品の最後っていうのが非常に効いている作品だと思う。


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