クワイエットルームにようこそ
クワイエットルームにようこそ
松尾 スズキ

お酒と一緒に向精神薬を大量摂取して意識不明(オーバードーズというらしい)となって精神病院に入れられた女性の話と聞いて読んでみた。

異常と正常の狭間を描いている話かな、と思って。
果たして、当たり。

読みながら、これは「17歳のカルテ」だなあと思った。

17歳のカルテ コレクターズ・エディション
17歳のカルテ コレクターズ・エディション

アンジェリーナ・ジョリーがアカデミー助演女優賞を獲ったことでも
有名になったこの映画は、主人公演じるウィノナライダーが
自殺未遂を起こして精神病院に入院し、
正常と異常はどこにあって、誰が決めるのか?
と自問する。

これを観て、そうなんだよ!そうなんだよ〜!!
と自分の興味ど真ん中の作品だったので非常に感銘を受けたのです。

街中で、包丁振り回したり、見た目にやばそうだなっていう人も
普通に歩いていれば「正常な人」と一応思われていて
何かを起こして病院に入ると「異常な人」もしくは
「前からおかしいと思っていた」
となる基準ってどうなんだろう?

普通でなければとか正常でなければという感覚に違和感を覚える。
誰もが異常な面を抱えていると思うし、それを自覚する・しないの差なんじゃないのかな、とこの本を読んでまた思ったりした。

今の自分を認めるまでを笑いに包んで描いた
意外とまじめな小説。

そうそう。人間どんなに深刻でも笑っちゃうような瞬間ってあるんですよねえ。そうしないともたない(笑)

私は作者のこの笑い飛ばす姿勢が好き。

一番笑った文章を載せておきます。
主人公が、自分のひどい有様を鏡でみてブラシで髪をとかそうと格闘するシーン。

「ぜ。ふ。ぜぜ。悪戦苦闘するうちブラシと毛が完全に絡まりきって、にっちもさっちもいかなくなってしまった。
 5分後、軽いゾンビな上に、髪の毛とブラシが完全合体した、「無残」という言葉を丹念にビジュアル化したような女がよれよれと廊下を歩いていた。通りすがるものがいたら「うわああ」って、襲いかかりたくなる気分だ。」

引用終わり。
無残という言葉を丹念にビジュアル化という比喩がお気に入り(笑)

  • 2020.08.11 Tuesday
  • -
  • 09:27
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

Comment
大学生当時に「17歳のカルテ」を映画館で見ていた間に、私の知らない所で私の人生に大破綻が起こっていたことを後から知り、その記憶の方が強いという悲しい刷り込みがあります(ごめんなさい、関係ない・・・)
レコード(世界の終わり)を流しながら自殺した知り合いの家を出て行くシーンが印象に残っています。責任はあるのか?ないのか?という自問すらしなかった主人公に衝撃を受けたような。
以来「世界の終わり」がmy人生の一曲、みたいになってます。

異常と正常の狭間の話、と聞いて「コンセント」思い出しました。
転んでいく描写が上手だとぞくぞくしますよね。しかしそこにユーモアを取り入れるとは、さすが松尾スズキ。「丹念にビジュアル化」って私もかなり好きですw
  • 彩子
  • 2006/02/01 16:48
>彩子さん
「17歳のカルテ」は
彩子さんのように主人公が自分の責任を感じないところを異常ととるか、思春期の自己肥大による一時的なものととるか
を観客に問うようなところもあったのかなと思いました。
>コンセント
そうですね。この話も同じ傾倒。こちらの方が私小説風というか、作者の影が随所に感じられる分緊迫感あります。引きずられるというのかな。体調悪い時は読めない(笑)
松尾さんは劇作家であるせいか非常に突き放した書き方ですが、今の私にはこのくらいの距離で書かれている作品の方がしっくりくるかなあ。

そういえば鴻上尚史さんの舞台「トランス」も正常と異常について描いた舞台として印象に残ってます。
  • 鈴之助@管理人
  • 2006/02/02 08:40





   
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