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評価:
東野 圭吾
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原作読んだら、ドラマ化でクドカンが脚本だっていうじゃーないですか。
というわけでドラマ観てから本と合わせて感想を書こうと温めてました、無駄に(笑)
温めすぎてぬるくなり、ドラマも早もうすぐ2話目放送ですねってことで、UP。
原作。
ネットでも結構書かれてましたが、あの帯・・・反則です。
最近容赦ない帯が多いですよね。
わかりやすい方が売れるって思うのかもしれないけど
回答をみてから解説を読むような気分になってしまうじゃないか。
私はミステリーを謎解きしながら読むタイプではないのですが、なんだかなあ。
「無性にハヤシライスが食べたくなるので、夜中は読まないでください。」
とでもして欲しかったなー。
で、その下に小さく「でも一度読み出したらやめられませんが責任も出前も追えませんし出来ません。」とか。
ベタ?ベタすぎる??
本題。
両親を殺された3兄妹。
成長した兄妹は、ある事情から表向きは社会人となっていたが結託して詐欺も営んでいた。
両親の事件も時効目前になっていた所、詐欺家業から偶然にも犯人をみつけてしまう。
両親の事件と兄妹の今。
徐々に明らかになっていく事件の側面と登場人物達の心。
東野圭吾作品はいつも展開が巧みでぐいぐい読ませます。
根幹にある事件がかなり陰惨なものであり、多くの登場人物にも影があるにも関わらずラストは多くの人物にとって救いがある結末というかなんとなく笑わせるようなちょっと気を抜いた感じのラストであるところが他の作品に比べると異色。
このラストの描き方が、クドカンの作風にははまるんじゃないかなーと思う。
というかこのラストがあるから彼の脚本にということになったんじゃないかと思うくらい。
個人的には東野作品には、どうしようもないやるせなさの残る重いラストや哀しみを感じるラストの方がしっくりするので白夜行や秘密、容疑者Xの献身の方がやっぱり好き。
白夜行を引っ張り出してきて、ふと思いついたのですが
東野氏の話では男性が献身的に女性に尽くし見守るっていう図が多くないですかね?
で、守っている男は、別の男にその守っている対象を差し出すんですよ、結果的に。
今回は長男と次男が末っ子の長女を守っているナイトの役割。
自分を犠牲にしても、対象の女性の幸せを守ってやろうと奔走する。
容疑者X〜もそうだし、秘密もそうだし。
なんていうか、
男がロマンティストである分、なぜか女の方はそれを踏みにじるかのようにリアリストだったり打算的だったりすることも多く(笑)
東野氏の女性観なのかなあ。
いつもなんか女性があんまりいい人にみえない。なんか嫌な女だなあ・・・って思うことが多いです。
東野作品の登場人物女性とはあんまり友達になれそうにない。
読んでいる私自身の庇護される女性への嫉妬ですかね(爆)
ドラマの方。
二宮君と錦戸君の組み合わせ、ありそうでなかったので観てみたかった。
世間的な評価では二宮君の演技力が有名なんですかね>硫黄島からの手紙にクリントイーストウッドが抜擢したどーとか。
でも、私は二宮君が出ている映画やドラマってかなり素通りしてるみたいです。
映画なんて観ようと思いつつ観ているのはピカ☆ンチだけ(笑)
青の炎も硫黄島〜も未見。ドラマでもあんまり観たことがなく。
一方の錦戸君は、「てるてる家族」(NHK朝ドラ)以来彼の出ている物はチェックしてきた。
「一リットルの涙」がよかったんだよね〜。
いいところばかりではない立体感のある人物で。
なので、なんか若い俳優の中で演技の才能がありそうな人たちが共演というのが気になりまして。
1話みた感じでは、元々二人とも影のある雰囲気&外見なので、
重い過去のある兄妹としての軸の話ではしっくりきている。
逆に、前半部分のギャグっていうか兄と弟の電話でのテンポ良いやりとりが微妙に重いというかこなれていない感じがしたのは1話だから?
とくに弟の
勢い一発ちょいバカ系のキャラって、以前のクドカン脚本だと長瀬くんが演じた真島誠を彷彿とさせる人間だったんだけど、その勢いが湿っている感じがしたというか。
滑舌かなあ。発音かなあ。なんとなく言い慣れていない感じがテンポに微妙な影を落とした気がしたんですけど。
話が進むにつれしっくりくるか。
あとドラマ本体とは関係ないけど、新聞にあった見出しというか副題が・・・。
いきなり、東野圭吾とクドカンが組んだ感動巨編!みたいな見出しがついていて
あの一話の流れにいきなり感動巨編はないだろうとつっこみたい。
尾見としのりさん演じるキャラクターがドラマならではの味付けでどう転がっていくのか楽しみだな。
要さん演じる役のドラマなりの変換が、今のところ個人的には一番面白い。
ちょい前にクドカンが池袋ウエストゲートパークをドラマ化するときにドラマ用に変更するところの話を書いてました。
主人公真島のキャラに新たにバカというキーワードをつけて話を展開していったとあって
なるほどなあって思ったのです。
確かに、石田衣良氏の原作を読むと真島ってもっと頭がキレてかっこいいんです。
でもドラマでは長瀬君のビジュアルですでに「かっこよさ」が映像化されている。
このかっこいい人がかっこいい性格を発揮するだけだと、主人公動いてもおもしろさ半減なんですよね。
本ではビジュアルは読者の想像の域だから、頭や行動がかっこいい方が話も転がるし、読む方もそれで憧れられたり親近感を持てる。
TVではそのちょいバカキャラが悩んで、走り回ることで仲間が動き出していた。
テレビと同じようなキャラだと、ちょいバカが強調されすぎて主人公だけだと物語が逆に転がらないところがでてくる。毎回大勢の登場人物が出てくると映像ほど情報量のない活字だとうるさいですからね。
今回の要さんが演じる役柄は、「ハヤシライス」をなぜか食べ歩く執念深そうな変わった人というとっかかりで
一見ヘンな人。
でもこの絡み方、原作より主人公達との関わり方が自然につながるような布石が打たれていると思う。
あと戸田恵里香ちゃん。
いままで観た役柄からすると、はまり役になるんじゃないかと。いまのところ。
なんか世間知らずで、それなりに上手く世間を渡ってきているようで、実は不器用で純粋。
そんな風に描かれるような気がする。
一話をみた限りでは、後半はかなりダークな展開にもっていくような気がするのでそこをどうドラマとして描くのか楽しみ。