クボ二本の弦の秘密 Kubo and the Two Strings
- 2018.02.14 Wednesday
- 18:48
JUGEMテーマ:映画
もう2月ですが、正月に家族そろってスターウォーズと梯子してみた作品。
去年上映前に、映像関係の仕事をしていた鈴太郎の友達パパが
これは親子で観たほうがいいと思うんですよね〜
と言っていたのが脳内に残っていて、新年もロングラン上映しているではないか!いかなきゃー!と張り切って映画館行った作品です。
「If you must blink, do it now! (瞬きするなら今のうち)」
作中で主人公の少年クボが何度も口にするセリフですが、まさにこの映画を観る観客の心にすとんと落ちるセリフ。
舞台が日本をモチーフにしていること
人形のコマ撮り、つまりストップモーションアニメという素晴らしい技術の粋
ということでロングラン上映になっています。
(まだ上映しているところもあるようだ)
主人公のクボ(苗字じゃない。名前である)という少年が
三味線片手に琵琶奏者よろしく物語を語る。
彼が三味線を奏でると折り紙が武者に、怪物に、動物にと様々な形となりその折り紙たちが演奏に合わせて
進み、飛び、戦い、物語を演じていく。
母親はクボを守るために家を出て流れ着いた村に住んでいるのだが
どうもその時にケガをしたようで記憶が曖昧で日中は目も見えずぼうっとしている。
けれども、その母が日が暮れたら決して外に出てはいけないとクボにしつこいくらい警告を出しており
クボは律義にそれを守り、母の面倒を見ながら、大道芸のような形で母からきいた物語を語ることで日銭を稼ぐ暮らしをしている。
あるとき、死者が生きている身内の元へ帰ってくるという話をきき(お盆の灯篭流し)
亡くなった父親に会いたいと思ったクボも灯篭流しに参加。
しかし、そのために家路につく前に日が暮れてしまう。
そこに現れる母の妹つまりクボの叔母2人。
クボに左目をよこせと迫ってくる。
血相を変えて現れる母。
母がクボを守り逃がすのと引き換えに命を失い
その代わりに現れたのがサル。
自分に引き継がれる刀、鎧、兜を探す旅へ。
その過程で呪いから記憶をなくしクワガタムシにされた父の家臣とも出会い旅を続けていくのだが。
父は、母は、クボに何を遺し、何を伝えたかったのか?
クボの出生の秘密は?
といった縦糸を軸に、サルとクワガタムシとクボの冒険ともいえる旅の過程が描かれる。
とにかく、この人形を動かしているだけとは思えない繊細な画面が素晴らしい。
お盆の灯篭流し、盆踊り、三味線、折り紙、武士、兜といった日本的なモチーフもわりと現実に即した形や音で描かれておりおもしろい。
三味線の音色はどこか物悲しく、悲劇的な生い立ちのクボの背景を陰影深く彩る。
描かれる「亡くなった人への思慕」と「敬う心」といった死生観が
非常に東洋的なモチーフだと思うのだけど
そこを物語の肝として染み入るように美しく描かれていて感動しました。
なにより、過酷な運命を乗り切るために母が繰り返しクボに語っていたのであろう「物語」の力が
クボに様々な力を与え(お金稼いだり、敵と戦ったり)、彼自身が生きていく上での力になっていく展開がいい。
シャーリーズ・セロン、レイフ・ファインズ、ルーニー・マーラ、マシュー・マコノヒーと声優陣も超一流。
While My Guitar Gently Weepsというエンディング曲がレジーナ・スペクターの哀愁のある声といい三味線演奏ですごーくかっこいい。
原曲がビートルズだって全然知りませんでしたw
日本語吹き替え版は吉田兄弟の三味線onlyバージョンだそうで、吹き替えでも見たいなあ。
というわけでオススメ。
大人も存分に楽しめます。