半分ノ世界 齋藤工監督作品
- 2014.05.30 Friday
- 18:40
SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2014のオープニングセレモニーでこの作品を観てきました。
今回目的としては生の斎藤工さんを拝むっていうものが大きかったんだけど、ショートフィルムが3本も観られた。どれも素敵な作品だった。しかも、1本はその斎藤さんが監督した作品のサプライズ上映。
楽曲にインスパイアされたミュージック部門で6作品。
齋藤監督は、大橋トリオさんの「HONEY」をイメージして「半分ノ世界」という作品を出品。
セレモニーでは主演の田辺桃子さんと一緒に登場した後、作品上映前には大橋トリオさんとまた登場。
蝶ネクタイにベストという英国紳士みたいなスタイリングと短めの髪は好みですね〜。
役柄ではちょっとワイルドなビジュアルの方がかっこよさが割り増し気味な気がするんだけど、今回映画監督っぽいというか映画に敬意を払ったような端正さがツボだった。
さて、上映作品の「半分ノ世界」
高校生の女の子(田辺桃子)とその高校の定時制に通う青年(井浦新)の心の交流を描いた作品。
1作目の監督作のサクライロでも思ったのだけど、齋藤監督はとてもリリカルな人なんだなあ、と。
それぞれの登場人物が持っている気持ちを、あめ玉をゆっくりと口に含むように表現するっていうのかな。
繊細な感情をセリフに頼らず風景や表情、行動といったセリフ以外の物で描くことに心を砕いている感じがする。
ラブストーリーとパンフレットにはあったけど、キャスト的にも、キャラクター設定的にも描き方としても性愛の匂いを感じさせない部分が強く出ていたので恋愛というよりは人間愛を描いている。
感情の揺れは細かく焦点を絞ってみせているのに対してテーマはより普遍性があってヨイ。
前半主人公の哀しみを描く表現が好みでした。
思春期の肥大化している自意識みたいなものを思い出した。
ちょっとした音が大きく表現され、主人公の過敏さを疑似体験する。
間に入る一瞬の映像や切り返しの時にぱっと光り乱れる画面にも哀しみやいらだちや世界との遮断を感じさせる。
冒頭一瞬出てきた夕暮れの水たまりの映像だとか、主人公がすれ違う人の会話から気付く場面とか印象的。
監督が拘ってベストのタイミングだと自分では思っているといった楽曲の「HONEY」の流れるタイミングも登場人物達の動きに彩りがぶわ〜と拡がるようで凄く良かった。
画面も夕暮れなど薄暗さを感じる映像が青空になったり。主人公の心の動きが風景とシンクロしていて綺麗だったな〜。
ただ、楽曲で歌声が流れているところではセリフは全くなくても良かったかなあ。歌声とセリフがかぶってたのはわざとなのかな?
私には演出的なことや映像の専門的なことはわからないから、感覚的なことだけなんだけど。
主人公はセリフがすくないと演じた田辺さんは言っていたけど、その代わりに心の内を話しているようにみえたのは映像や音楽が饒舌な作品だったからかな。
大橋さんが完成前のラフを観た話をされていてBGMのない映画っていうのも面白いかもと言ってたんだけど、この作品も最初主人公が帰宅するシーンでだけBGMをいれて、その後「HONEY」まで生活音とセリフ以外無音でもまた面白いかもしれない。
ご本人は自分は捻くれているといっていますが、監督作からはとってもまっすぐで脆くて危ういというか純粋というか、夢見がちな人に感じる。
ひねくれという点から考えると、恋愛を正面から描くのは照れや構えがあるのかなー。サクライロを観たときにも思ったのだけど。
あとがっつりした恋愛モノなら個人的には監督よりも俳優さんとして観たいw
青春物や思春期くらいの人たちを主人公にした長編映画を撮ったら面白い作品が出来るんじゃないかなあ。
「1999年の夏休み」とか「桜の園」の中原俊監督みたいな印象を受けたのは主役の女の子の存在感かもしれないけど。
原作があるものの映画化ばかりは好きじゃないけど、例として白河三兎の小説みたいなものを映画化とかね。
話が逸れまくったけど、田辺桃子さんは眼帯が似合っててその姿が綾辻行人の小説「アナザー」の表紙を思い出させた。
眼帯女子、いいねぇ。何かありそうな雰囲気がヨイ。
あれは橋本愛さんで映画化されたんだっけか。このまま田辺さん主演でホラーサスペンスも撮れたんじゃないかしらん。
とまあ、妄想が止まらないので、今回はこの辺で。
2014/5/31 追記
ご本人がRADIOで主人公に眼帯させたいと言ったと仰ってました。
塩田監督の月光の囁きへのオマージュでもあると。
そっちか〜!
あの作品好きなのよね。ロケ地が母校近くなので、知ってる景色がガンガンでてくる映画で思い入れがある。
ついでに言うと、サクライロ観た時は月光の囁きに主役で出てる水橋研二さん出ていて唸った。
塩田監督とも子どもの頃からの知り合いと以前話してて、なんですと!となったもんです。
根っからの映画小僧で、映画のいろんなものが身近にあっていいな〜。